「千鳥饅頭」で知られる千鳥屋には、千鳥屋宗家・千鳥屋本家・千鳥饅頭総本舗という、名前が非常によく似た3つの屋号が存在します。 初めて調べると「全部同じ会社?」「どれが元祖なの?」と混乱する方も少なくありません。
- 千鳥屋の「宗家・本家・総本舗」は同じルーツを持つ独立した別会社
- 兄弟の「暖簾分け」によって各地に展開したすべてが正統な本物
- 会社ごとに千鳥饅頭の味や、主力商品(チロリアンなど)が異なる
- 東京に存在した「千鳥屋総本家」は2019年に廃業済み
結論!千鳥屋の「宗家・本家・総本舗」の違いとは?総本家は消えた?

まず結論からお伝えします。現在主流となっている3つの千鳥屋は「同じルーツを持つ、現在は完全に独立した別会社」です。
- 千鳥屋宗家:大阪を拠点とする関西中心の別法人
- 千鳥屋本家:福岡県飯塚市を本拠とする老舗菓子舗
- 千鳥饅頭総本舗:福岡・博多を拠点に「チロリアン」で全国的に知られる会社
千鳥屋総本家(東京):以前は存在していましたが、2019年に廃業しています。
偽物や模倣品ではなく、すべてが正統な歴史を受け継ぐ「本物」です。それぞれの違いが一目で分かる比較表を用意しました。
【千鳥屋3社の違い 比較表】
| 屋号 | 正式社名 | 本拠地 | 主な展開エリア | 主力商品・代表銘菓 |
|---|---|---|---|---|
| 千鳥屋宗家 | 株式会社千鳥屋宗家 | 大阪府・兵庫県 | 関西中心 | 本千鳥饅頭、みたらし小餅、ザ プレミアムチロリアン |
| 千鳥屋本家 | 株式会社千鳥屋本家 | 福岡県飯塚市 | 九州(飯塚・筑豊中心) | 千鳥饅頭、ヨーデルン |
| 千鳥屋総本舗 | 株式会社千鳥饅頭総本舗 | 福岡県福岡市 | 九州(博多・全国) | 千鳥饅頭、ポルトス、チロリアン |
同じ「千鳥饅頭」という看板を掲げていても、経営も商品ラインナップも異なります。特に間違えやすいのが洋風焼き菓子の違いです。(後述します)
なぜ3つあるの?千鳥屋の歴史と「暖簾分け」の真実
「では、なぜ同じ名前の会社が複数も存在するのか?」 その答えは、千鳥屋の長い歴史と、ある「兄弟の暖簾分け」のエピソードに隠されています。
発祥は1630年の佐賀「松月堂」
千鳥屋の歴史は古く、1630年(寛永7年)に原田家が佐賀県で「松月堂」というお菓子屋を創業したのが始まりです。長崎で南蛮菓子であるカステラや丸ボーロの製法を学び、本格的な製造を開始しました。
その後、1927年(昭和2年)に福岡県の飯塚に支店として「千鳥屋」を開店したのが、現在の千鳥饅頭の直接的なルーツとなります。
【重要】原田家兄弟による「暖簾分け」と分社化

現在の形に分かれた最大の理由は、昭和時代に千鳥屋を大きく発展させた「中興の祖」である原田ツユ氏の息子たち(兄弟)による暖簾分け(分社化)です。
兄弟それぞれが各地で独立して会社を興し、千鳥屋の味を広めていきました。
- 長男:千鳥屋総本家(東京) 東京に進出し関東圏を展開。※2019年に廃業(詳細は後述)
- 次男:千鳥饅頭総本舗(福岡県・福岡市) 博多を拠点とし、「チロリアン」で全国的な知名度を獲得。
- 三男:千鳥屋宗家(関西) 大阪・兵庫など関西地方に進出し、独自の商品展開で成功を収める。
- 五男:千鳥屋本家(福岡県・飯塚) 発祥の地である飯塚を受け継ぐ。現在も営業を継続し、伝統の味を守る。
このように、「兄弟で暖簾分けをして各地に展開したから」こそ、現在複数の千鳥屋が存在しているのです。したがって、「どれが本物か?」という問いに対しては、「どれも正統な後継者である」というのが正しい答えになります。
本記事の歴史的背景は、以下の各社公式情報を参考に執筆しています。
【徹底比較】3社の「千鳥饅頭」の味や特徴の違いは?
「同じルーツなら、千鳥饅頭の味は全部同じなの?」と疑問に思う方も多いでしょう。 福岡銘菓を食べ尽くしてきた筆者の視点で、各社の千鳥饅頭を実際に食べ比べてみました。
結論から言うと、「ベースは同じだが、微妙に味が違う」のが面白いところです。
- 千鳥屋本家(飯塚):昔ながらの製法。カステラ生地の香ばしさと白餡の素朴でしっかりとした甘さが特徴の、どっしりとした味わい。
- 千鳥饅頭総本舗(博多):生地と餡のバランスが絶妙で、なめらかな口溶け。誰に贈っても喜ばれる、洗練された万能なおいしさ。
- 千鳥屋宗家(大阪)の「本千鳥饅頭」:上品であっさりとした甘さ。関西の好みに合わせた、お茶請けにぴったりの仕上がり。
※味の感じ方には個人差がありますが、食べ比べてみるとそれぞれの個性が光っています!
各千鳥屋の主力商品と店舗情報

それぞれの会社は千鳥饅頭以外にも、大ヒットしている独自の商品を持っています。お土産を買う際の参考にしてください。
千鳥屋宗家(大阪・兵庫)の特徴
- 主力商品: 「本千鳥饅頭」「みたらし小餅」
- 特徴: 関西を中心に展開。「みたらし小餅」は、お餅の中に甘辛いタレを閉じ込めた関西土産の定番として絶大な人気。
- 店舗情報: 関西の駅前や百貨店を中心に展開。
千鳥屋本家(飯塚)の特徴
- 主力商品: 「千鳥饅頭」「ヨーデルン」
- 特徴: 発祥の地・飯塚本店を構え、筑豊地方を中心に展開。洋風ロールクッキーの「ヨーデルン」が人気。
- 店舗情報: 飯塚市を中心に、福岡・九州各地の百貨店でも販売。
千鳥饅頭総本舗(博多)の特徴
- 主力商品: 「千鳥饅頭」「チロリアン」
- 特徴: 九州土産として全国的に有名な「チロリアン」を製造・販売。博多土産の鉄板。
- 店舗情報: 博多駅・福岡空港・天神を中心に多数出店。
【補足】かつて東京にあった「千鳥屋総本家」はどうなった?
千鳥屋について検索すると「千鳥屋総本家」という名前を見かけることもありますが、これは長男が東京で展開していた会社の名称です。
- 本拠地: 東京都
- 経緯: 兄弟の暖簾分けに伴い、長男が東京に進出して設立。関東圏の百貨店や駅ビルなどで展開。
- 現在の状況: 経営悪化により2016年に民事再生法を申請し、2019年に廃業。現在は別の会社が一部の事業や店舗を譲り受けて運営している。
そのため、現在「千鳥屋」の創業家の伝統を受け継いでいるのは、関西の「宗家」、飯塚の「本家」、博多の「総本舗」の3社となっています。
【重要】「チロリアン」と「ヨーデルン」の名前が違う深い理由
千鳥屋のお菓子といえば、筒状のクッキーにクリームを詰めた洋風菓子が有名ですが、実は会社によって名前が異なります。
- 千鳥饅頭総本舗(次男) = 「チロリアン」
- 千鳥屋本家(五男) = 「ヨーデルン」
- 千鳥屋宗家(三男) = 「ザプレミアムチロリアン」
なぜ似たお菓子なのに名前が違うのでしょうか?実はここには、商標権を巡る兄弟会社の訴訟という深い背景があります。
元々、どの千鳥屋でも「チロリアン」に似た名称で商品を販売していましたが、いち早く「チロリアン」の商標登録をしていた次男の「千鳥饅頭総本舗」が、五男の「千鳥屋本家」を商標権侵害で提訴しました。
長年の争いの末、2023年に大阪地裁で和解が成立。千鳥屋本家側が解決金を支払い、商品名を「チロリアン」から変更することになりました。こうして新たに誕生した商品名が「ヨーデルン」なのです。
「ヨーデルン」は、長い歴史と大人の事情を経て生まれた、新しいけれど伝統的なお菓子と言えますね。
▶ 似ているようで全然違う?「チロリアン」と「ヨーデルン」の徹底比較はこちら
【お土産選び】目的別!おすすめの千鳥屋はどこ?
「結局、お土産にはどれを買えばいいの?」と迷った方は、以下の基準で選んでみてください。
- 千鳥饅頭総本舗:博多駅や福岡空港で、定番の福岡土産(チロリアンなど)を買いたい方におすすめ。
- 千鳥屋本家:炭鉱の歴史が息づく、昔ながらの老舗の味(ヨーデルンなど)を楽しみたい方におすすめ。
- 千鳥屋宗家:関西・大阪ならではの千鳥屋の味(みたらし小餅など)を知りたい方におすすめ。
よくある質問(FAQ)
千鳥屋の違いまとめ
- 千鳥屋が複数に分かれている理由は、原田家兄弟による「暖簾分け」という歴史的背景があったため。
- 現在、伝統を受け継いでいるのは「千鳥屋宗家」「千鳥屋本家」「千鳥饅頭総本舗」の3社。
- 同じ「千鳥饅頭」という名前を受け継ぎながらも、それぞれが地域性を活かして独自の味や商品(チロリアン、ヨーデルンなど)を展開している。
- 商標を巡る争いなどの歴史もあったが、どれもが和菓子の深い歴史を感じさせる正統な銘菓である。
福岡や関西を訪れた際は、ぜひこの歴史を思い出しながら、各社の千鳥饅頭や銘菓を食べ比べてみてください!





