福岡土産の絶対王者として君臨する「博多通りもん」。しっとりとした白餡とバターの香りがたまらない、私も福岡へ行くたびに必ず自分用と配る用に購入する大好きな銘菓です。
しかし、久しぶりに手にとった時、ふとこんな違和感を覚えたことはないでしょうか?
「あれ? 通りもん、少し小さくなってない……?」
昨今の物価高騰により、多くのお菓子が価格据え置きで容量を減らす「シュリンクフレーション(ステルス値上げ)」を行っています。「まさか通りもんも……」と不安になるのも無理はありません。
そこで本記事では、博多通りもんが本当に小さくなったのか、それとも私たちの気のせいなのかを徹底検証しました。過去のデータとの比較や公式情報を紐解きながら、サイズ変化の真相と価格改定の背景に迫ります。
- 重量検証: 現在の重量と過去のデータを比較し、サイレント減量の有無を調査。
- 公式情報: 明月堂による価格改定の履歴と、サイズ変更に関する公式発表を確認。
- 心理的要因: なぜ「小さくなった」と感じてしまうのか、視覚や記憶に基づく3つの要因を解説。
- 結論: サイズの変化よりも「価格」と「入り数」の変化が印象に影響している可能性が高い。
博多通りもんが「小さくなった」という噂は本当か?
福岡空港や博多駅のお土産売り場で、山積みになった黄色い箱を見るだけでテンションが上がる博多通りもん。しかし、ネット上の検索候補に「通りもん 小さくなった」と出てくるように、そのサイズ感に疑問を抱いているファンは少なくありません。
結論から申し上げますと、「1個あたりのサイズ(重量・大きさ)」に関しては、サイレント減量は行われていない可能性が高いという検証結果になりました。
なぜそのように言えるのか、具体的な数値と事実関係をもとに深掘りしていきましょう。
過去と現在の重量・サイズを徹底比較
「小さくなった」という感覚が事実かどうかを判断する最も確実な指標は「重さ」と「直径」です。形状が微妙に変わっていたとしても、使用している材料の総量が減っていれば数値に表れるからです。
今回、検証のために最新の博多通りもんを実際に購入し、計測を行いました。また、比較対象として過去のWEBメディアでの検証記事(2016年公開の『ジモコロ』記事など)のデータを参照します。
1. 現在のスペック(2026年 実測値)
私が購入した通りもんをデジタルスケールと定規で測った結果は以下の通りです。



- 直径: 約5.5cm
- 高さ:1.5cm
- 1個あたりの重量: 約33g
- 1個あたりのカロリー: 115kcal
2. 過去のデータとの比較(2016年頃)
では、過去はどうだったのでしょうか。例えば、2016年に公開された人気メディア『ジモコロ』の記事(【感動】ウマ過ぎる福岡土産「博多通りもん」の魅力を聞いてくれ!)では、通りもんを詳細にレポートしています。
当時の記事内の写真や記述を確認すると、手に持ったサイズ感や形状は現在と全く変わっていないように見受けられます。
また、実際の大きさや重さは以下のように記録されています。
- 直径:5.5cm
- 高さ:2cm
- 1個あたりの重量:35g
私が測ったものと比べてみると、現在の方が若干ですが小さく感じます。
しかし、通りもん自体の多少の個体差や測った人の感覚(定規の置き方や読み方)で前後することがあると考えると、現在の方が小さくなっているということはないと考えられます。
公式発表はある?メーカー(明月堂)の見解と事実関係
次に、製造元である「明月堂」の公式発表を確認します。企業として「サイズを小さくしました」と発表することは稀ですが、価格改定や規格変更のリリースには真実が隠されています。
調査の結果、明月堂は過去に数回、大きな決断をしています。
- 入り数の変更(実質値上げ)の過去 過去(2009年頃など)、原材料高騰の際に「12個入り」を「10個入り」に変更するといった規格変更が行われています。これは1個あたりのサイズを小さくするのではなく、「箱に入っている総数を減らす」という対応でした。
- 正当な「価格転嫁」の実施 近年の原材料費(バター、小麦粉、砂糖など)や物流費の高騰に対し、明月堂はサイズをこっそり小さくするのではなく、「商品価格そのものを上げる」という選択をしています。
例えば、公式サイト等の情報(明月堂公式サイト)を確認しても、「サイズ変更」に関するアナウンスは見当たりません。むしろ、品質を維持するために価格を適正化するという姿勢が見て取れます。
公式のニュースリリース等でも「規格変更」という言葉が使われることがありますが、これは主に「入り数」や「箱の仕様」の変更を指しているケースがほとんどです。つまり、メーカーとしては「こっそり小さくする(シュリンクフレーション)」よりも、「サイズと味を守るために、価格や入り数、パッケージを調整する」という誠実な対応をとってきたと言えます。
なぜ「小さくなった」と感じてしまうのか?3つの要因
数値上は変わっていない、公式にもサイズ変更の事実はない。それなのに、なぜ私たちはパッケージを開けた瞬間に「あれ、こんなに小さかったか?」と感じてしまうのでしょうか。
そこには、物理的なサイズ以外の3つの要因が絡み合っています。特に「箱のサイズ変更」は見逃せないポイントです。
1. パッケージや箱の規格変更による「サイズ感」の変化
ここが最大の誤解を生むポイントかもしれません。 明月堂では過去に、環境配慮やコスト削減の一環として外箱のサイズ(パッケージ規格)の見直しを行っています。 1個あたりの大きさは変えずに、箱の中の「無駄な隙間」を減らして箱自体をコンパクトにしたり、入り数を調整したりしています。
久しぶりに購入した人が、以前よりコンパクトになった箱(外装)を見て、「全体的に小さくなった=中身も小さくなったのでは?」と直感的に錯覚してしまうケースが多いようです。これは中身を守りつつ資材を節約するための企業努力ですが、見た目のボリューム感が減るため、誤解を招きやすい要因となっています。
2. 他社製品の「ステルス値上げ」による疑心暗鬼
昨今、コンビニのお弁当や有名チェーンのハンバーガーなど、明らかにサイズが小さくなった商品が溢れています。消費者は「どうせ企業はこっそり量を減らすものだ」という防衛本能(バイアス)を持って商品を見るようになっています。この「シュリンクフレーション慣れ」が、変わっていない通りもんに対しても疑いの目を向けさせているのです。
3. 自身の成長と記憶の美化
これは笑い話のようですが、心理学的には非常に大きな要因です。初めて通りもんを食べたのが数年前、あるいは子供の頃だった場合、当時の自分の手のひらのサイズ感で記憶が定着しています。 大人が駄菓子を久しぶりに食べて「こんなに小さかったか」と驚くのと同様に、記憶の中の「感動した美味しいお菓子」は、実物よりも大きく美化されがちです。特に通りもんのような「濃厚でインパクトのある味」は、記憶の中で存在感が肥大化しやすい傾向にあります。
以上のことから、「通りもん(中身)は小さくなっていないが、箱がコンパクトになり、私たちの環境と感覚が変化した」というのが、最も真実に近い結論ではないでしょうか。
博多通りもんの価格改定の背景と変わらぬ「価値」

サイズは維持されているものの、価格が上昇しているのは紛れもない事実です。「昔はもっと気軽に買えたのに」と感じる方もいるでしょう。
しかし、なぜ値上げが必要だったのか、その背景を知ることで、このお菓子への見方が少し変わるかもしれません。ここからは、価格改定の裏側にある事情と、それでも揺るがない通りもんの価値について解説します。
原材料高騰が直撃!バター・小麦粉の値上がりが与える影響
博多通りもん最大の特徴といえば、あの芳醇なバターの香りです。通常の和菓子(饅頭)では考えられないほどのリッチな風味は、高品質なバターを惜しみなく使用することで実現されています。
しかし、この「こだわり」こそが、近年の経済情勢において諸刃の剣となりました。
- バター価格の高騰: 世界的な乳製品の需要増や飼料価格の高騰により、業務用バターの価格は右肩上がりです。
- 小麦粉・砂糖の値上げ: お菓子の基本材料であるこれらも、輸入コストの増大により価格が跳ね上がっています。
- 包装資材・物流費: 商品を包むフィルムや箱、それを運ぶためのコストも上昇の一途をたどっています。
もし、明月堂が「価格据え置き」にこだわっていたらどうなっていたでしょうか。おそらく、バターを安いマーガリンに変えたり、本当にサイズを小さくしたりして品質を落とすしかなかったはずです。
私たちが今も変わらず「やっぱり通りもんは美味しい!」と感動できるのは、メーカーが「安易なコストカット(品質低下)」を選ばず、「正当な値上げ」を選んで味を守り抜いた結果なのです。

それでも「通りもん」が福岡土産の王者である理由
値上げがあったとしても、博多駅や空港での通りもんの人気は衰えることを知りません。他の新しいお土産が登場しても、結局最後にはここに戻ってきてしまう。その理由はどこにあるのでしょうか。
1. モンドセレクション金賞受賞の「世界品質」
通りもんは、世界的な食品コンテスト「モンドセレクション」において、20年以上連続で金賞を受賞しています。これは単なる話題作りではなく、長期間にわたり品質のブレがなく、高い水準を維持し続けていることの証明です。
2. 他にはない「和洋折衷」の完成度
「しろ餡の中に練乳とバター」という組み合わせは、今でこそ類似品が見られますが、通りもんが確立した黄金比は他を寄せ付けません。口に入れた瞬間の、ねっとりと舌に絡みつく濃厚な甘さと、鼻に抜ける洋風の香りは唯一無二です。 私が知人に配った際も、「和菓子は苦手だけど、これだけは別格」と言って喜ばれることが多々あります。老若男女問わず愛されるこの味こそが、王者の証です。
3. 「博多でしか買えない」という希少性
これが意外と重要なポイントですが、明月堂は基本的に福岡県外での常設販売を行っていません(一部の期間限定催事などを除く)。 「どこでも買える」ようになるとブランド価値は薄れますが、現地に行かないと手に入らない(もしくは通販で取り寄せるしかない)という希少性が、お土産としての価値をさらに高めています。
関連記事:通りもんがどこで買えるか気になる方は以下の記事をご覧ください。

まとめ:博多通りもんは今も「買い」なのか?
今回の検証の結論をまとめます。
- サイズについて: 「小さくなった」という事実は確認できず、重量・サイズともに規格は維持されている可能性が高い。
- 印象の変化: 箱のサイズ変更(コンパクト化)や入り数の調整、シュリンクフレーションへの疑心暗鬼が「小さくなった」と感じさせる主な要因。
- 価格について: 原材料高騰に伴う値上げは行われているが、それは品質(味とサイズ)を守るための誠実な選択。
結論として、博多通りもんは今も間違いなく「買い」なお土産です。
確かに以前より少し高くはなりましたが、中身をこっそり減らして味を落とすことなく、あの濃厚な満足感を提供し続けてくれています。1個食べた時の満足度は、他のお菓子数個分に匹敵すると言っても過言ではありません。
「小さくなった?」と疑う前に、ぜひ久しぶりに一つ食べてみてください。口の中に広がる変わらぬ美味しさが、その疑念をきっと吹き飛ばしてくれるはずです。





